今週は寒い日が続いています。
大雪のニュースを見るたびに、温暖な気候の浜松だとあまり見かけない風景が多いのですが、今週末はセンター試験。センター試験の学生さんはじめご関係者、そしてこの週末にお出かけのご予定のある方、皆様どうぞお足元にはご注意してお出かけくださいね。早くお天気が回復することを祈っています。

 

さて、今日は久しぶりに修理リペアの実例をご紹介します。

一昨年の冬、あるお電話がありました。
「近い将来リフォームを考えているのですが、家に使わないまま置いてある古い箪笥があるので一度見てもらえませんか?」と。

そしてお伺いして拝見させていただいたのがこちらの箪笥です。

おおっ、これは古い薬箪笥ではないですか。
薬箪笥とはお医者さんや薬屋さんが薬を入れておいておく小さい引出しが沢山ついているのが特徴の箪笥です。たくさんある引出しのどこに何があるか分かるように引出しに薬の名前の札が貼られています。前から見ると小さい引出しに見えますが、奥行きが深くなっていてたくさん収納出来るようになっています。

お話を伺うと長年薬局をされていたとのこと。場所も旧街道沿いですので、その地域の方がた含め街道沿いをとおる人たちの手に薬のやり取りがあったのではと、ちょっと歴史ロマンが頭をよぎりました。

 

現在では全くお使いになっておらずそのままになっているとのことで、現在の状態の確認をさせていただきました。

外側は元々色のついた塗装のようですが経年変化で取手ともども色がついているようです。よく手が触れる取手あたりはこすれて地の色が出ていますね。また幾つか取手が外れてしまったり、ない引出しもあります。上部の小さい引出しの取手は真鍮で出来ているようで、下部の引出しは鉄に黒い色がついたもののようです。


取手はどうしてもその箇所だけに集中して力がかかりますから、ましてレールがない引出しで沢山物が入って重くなった引出しを引っ張ろうとするとさらに力がかかってしまうので、こうして取れてしまうことがあります。一般的に新しい家具を購入した時に予備の取手を購入することはありませんので、外れてしまった取手が再度使用できる状態なら修理も可能ですが、取手そのものが破損してしまったりすると、「同じ取手が手に入るのか?」という問題も出てきます。そういう事例もよく見てきておりますので、シュクレ浜松の引出しの多くは木を掘ってある堀り取手や、木を一部切り欠いてある取手などをよく採用させていただいています。

引出しの内側は綺麗なままです。底板も側板もしっかりしています。
これも無垢の木で作られているから、これだけの長い時間持ったのですよねえ。

薬用ということで密閉性の高い質の高い箪笥のようで、これまでに修理などの手が入っていないようでしたので、今回のリフォームを機に全体を修理するということでお見積もりを出させていただきました。

そしてリフォームの期間にお預かりさせていただき修理を施し、昨年の冬に新しくリフォームしたお宅にお持ちしたのがこちらです。

上部の真鍮は今までのものをしっかり作った当時のように磨きました。


時間が経って古い趣のある箪笥の方が味があるのかもしれませんが、このようにしっかり全体を修理すると、l修理する前の古い趣のある状態になるまで、これから日常で「使っていただきながら」またさらに時を重ねていただけることと思います。

薬の材料をはかる天秤を飾られたり、また和の趣がある朱の壁などとっても素敵にリフォームされ、こうして古い薬箪笥が受け継がれていく姿を見て大変嬉しく思いました。

しかしこうしてしっかり修理出来るのも、やはり昔は材料が無垢材しかないだけに全体が木で出来ているということが大きいとつくづく思います。

古い家具というのは、一般の方ではなかなか修理の判断がつかないことも多いと思います。もしご判断がつかない時は、見せていただくのも修理のお見積もりも無料ですので、一度シュクレ浜松にご相談いただければと思います。
(申し訳ありませんが拝見に伺わせていただくのは現在浜松市近郊とさせていただいております。また木製の家具に限りますのでご了承ください。こちらの案内も合わせてご覧いただければと思います。)

 

今回薬箪笥の修理だけでなくリフォームに合わせて、玄関に置く下駄履きも納めさせていただきました。


こちらは新しいものですが、和スタイルのものをご用意いたしました。店舗での販売はありませんが、ご興味あればおたずねください。このように店舗での展示がなくても、お客様のご希望でお探ししたり、またお作りすることもさせていただいております。

シュクレ浜松では「長く共に過ごす家具」を目指しております。
長く使える新しい家具はもちろんのこと、修理リペア・リメイクでお持ちの家具をさらに使い続けていただくサポートもさせていただいておりますので、何かありましたらお気軽におたずねくださいませ。