日ごとに秋の深まりを感じるようになりました。

温かい食卓が恋しくなるこの季節に、ダイニングテーブルセットの修理のご紹介をします。

こちらはお父さまがご存命のころ、アンティークショップで購入されたというダイニングテーブルセット。長い年月を家族とともに過ごしてきた、思い出の詰まった家具です。

今回は、お母さまがこれからお一人で使われるために修理のご依頼をいただきました。

最初に当店を見つけてくださったのは、お嬢さま。お母さまに相談を受けて修理ができる店を探す中で、当店を見つけてくださいました。

テーブルは伸長式のタイプで、しまっているときは2人がゆったりと、広げると4人でも余裕をもって座れるつくり。

脚のデザインも特徴的で、どっしりとした重厚感のあるオーク材のつくりになっています。

海外のアンティークですが、いつ頃のものかは不明。それでも、木の質感や構造の確かさから、手仕事でつくられたことが伝わってきます。

長い年月の中で、天板の突板には割れが生じ、表面の塗装もところどころ剥がれていました。

修理を終えて、生まれ変わった姿がこちら。

修理の工程としては、まずは表面を研磨し、突板を補修。下地を整えたうえで、新たに塗装を施しました。

木目を引き立たせるように仕上げ、落ち着いた艶をまとった天板は、再び息を吹き返したように見えます。

脚部も同様に塗装し直し、全体のトーンを揃えました。重厚さを残しつつも、やさしい光を受けるたびに柔らかく表情を変える、穏やかな印象です。

椅子も長年の使用により、座面を支える中央の棒が外れ、座ると沈み込む状態になっていました。

内部のウレタンを新しいものに入れ替え、張地は落ち着いた色合いの合皮で張り替えています。

木部の塗装もテーブルに合わせて仕上げ、セット全体に統一感が生まれました。

修理を終えたテーブルと椅子を見ながら、長く手をかけてこられた家具にまた新しい命が宿ったように感じました。

家具は道具としての役目を果たすだけでなく、家族の時間や記憶を受け継いでいく存在。そんな家具を再び日常の中に送り出せることに、静かな喜びを覚えます。

これからお母さまの暮らしのそばで、また穏やかな時間を見守ってくれることを願っています。そして、お嬢さまご家族が訪れたときには、このテーブルを囲んで笑顔が広がる光景が見られたら、何より嬉しく思います。

 

 

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