桜の開花のニュースが気になる今日このごろです。
今日ご紹介するのは、セミオーダースタイルでお作りした収納キャビネット(チェスト・箪笥)です。
シュクレ浜松では、セミオーダースタイルを取り入れている家具が多くあります。
セミオーダースタイルでは、基本となる形が決まっていて、そこに追加でオプションをつけたり、サイズや素材などを用意された選択肢から選んでいただいたり、もしくはご希望のサイズや仕様を取り入れて作り上げていきます。
変更できる内容は、基本となる形の家具を作っているメーカーさんや職人さんによって異なります。
一から形を作っていくフルオーダーと比べ、セミオーダーはお値段を抑えることができますし、作る過程でのやり取りもベースとなる実例を元に進めていきますので、完成した時のイメージがしやすい良い点があります。
今回のお客様のご希望はお持ちのお着物を収納されたいとのこと。
そこで、以前ブログでご紹介させていただいただ「伝統的な蟻組を施した、優しいデザインの無垢材チェスト」をセミオーダースタイルでお作りすることになりました。
まずお着物のたとう紙のサイズを元に幅と奥行を決め、収納力は引出しを7杯という仕様にして、サイズはW1000 D445 H1170となりました。
オリジナルは脚のついたデザインですが、今回は台輪の作りに変更しました。
着物にとって一番の敵は湿気や虫の侵入。桐材は調湿に優れ、防虫効果もあります。そして軽い上に熱伝導率が低いという性質もあります。
そして材料だけでなく「造り」も箪笥やチェストにとっても大事なポイントです。
とりわけ「引き出し」は大切なものを収納する上で最重要部分です。
いくつか大事な造りのポイントをご紹介しますね。
まず、桐の箱のさらにその上に重ねて前板がついています。
箱に直接取っ手を付けた引出しを見かけることがありますが、こちらの引出しのように箱のさらに上に前板がついている造りのほうがより強度があります。
箱の一部が前板になっている引き出しは、引出しを引っ張るときに前板ごと力が掛ってしまうために、歪みを起こし、前板がはずれてしまうことがあります。
そして箱の側面の板の組み合わせ方です。
この箱の「組み」も種類がありますが、こちらは「蟻組み」と呼ばれるもの。木の特性を生かしている組み方をした引出しはとても丈夫です。
最後に底板。
こちらは桐の6mmのベタ底構造になっています。大量に生産される安価な家具の引出しは、上げ底になっていて前板と側面に溝を切り、合板の底板をはめ込んだ構造になっていて、気密性も劣りますし、使っているうちに底が抜けてしまう…ということが起きてしまいます。
そしてレールがない引出しです。
最近の家具にはレールがついているものが多いですよね。
しっかりとした出来の桐の引出しは、レールがない方が密閉性も高くなりますので、着物など衣類には適しています。
安価なレールは曲がってしまったりして故障してしまうことがありますし、修理も大変です。
レールの開け締めに慣れていると、レールがないと引出しを引いた時に心配…という方もいらっしゃいますが、レールとはちがってゆっくりと引き出されますので、そこまで心配はないと思います。
収納するものによってはレールがあると便利な引き出しもあります。ただ、長く使っていただくには質の良いレールが付いているものをおすすめします。
今回の収納は引出しの側面に取っ手が彫り込んでありますので、そこに手をかけていただければ引出しを出して持ち運んでいただくことも出来て便利ですよ。
そして、この着物収納の隣に同じブランドでサイズや仕様が違う収納をお作りしました。
それがこちら。
こちらは奥行と高さ、そして台輪のデザインは着物の収納と同じですが、幅がW650で引出しが5杯のデザインとなります。
アルダー材の無垢材の天板と側板は蟻組みで組んであり、角を丸く削ってあるデザインです。
このちょっとした丸みが全体に優しい柔らかい印象をもたらしています。それにプラス前板に半円の形の彫り込の引き手もおしゃれですね。
規格では木と金属のつまみの取っ手もありますが、当店ではこの彫り込みの引き手が人気です。
実際にお客様のお宅に納品した画像がこちら。
この柱と柱のスペースに合わせて着物収納ともう1つの収納が納まるようにお作りしました。
造りの良さと柔らかい曲線のデザインとアルダー材の優しい木目が調和した質感たっぷりの良い箪笥、チェストです。
ちょうど同時期に違うデザインでのご注文がありましたので、参考までにご紹介しますね。
こちらはオリジナルの脚があるデザイン。掃除機もお掃除ロボットも楽々に使えます。
背面の画像がありませんが、綺麗に化粧貼りなっています。
そして、以前お作りしたこちらのご注文もご紹介。
ベッド横に置くサイドチェストです。サイズはW350 D400 H550
(台形に見えますが、長方形のデザインです)
金属性のつまみの扉が付いていて、引出しではなく内側には棚が1枚付いています。
材料はアルダー材ですが、ウォールナット色に塗装されています。
以前のブログではご紹介してないのですが、現在お店ではこのウォールナット色の下の収納が展示してあります。
こちらは規格のデザインですが、引出し収納と棚収納の両方が組み合わされたデザインです。
このように引出しと棚の両方の収納の組み合わせも可能ですので、ご使用に合わせてお選びください。
以前は一家に一竿の桐箪笥があったものですが、だんだん大量生産の家具やとりあえずのプラスチックケースが増え、箪笥を作る職人さんも減ってきているようです。当店では古い家具の修理をするのでよく分かるのですが、やはり天然木で作ってある家具は修理が可能なことが多く、それだけに長く使っていただくことが出来ます。
お値段もそれなりにしてしまいますが、今回ご紹介した収納ならば、和室でも洋室でも様々なお部屋に合うと思いますので、その時その時のライフスタイルに合わせてお使いいただけると思います。
大切なものを仕舞っておく場所として、長く使える家具はいかがでしょうか。
せっかくのセミオーダーシステムですので、どうぞお客様だけのとっておきの収納をお作りいただければと思います。
ご紹介した収納についてご質問等ありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。