今回はお住まいの建て替えをきっかけに、お家の歴史を伝える思い出の家具の修理リペア・修復を施した事例です。
お預かりした4点の家具がこちらです。
どのような種類の家具かお分かりになるでしょうか。
1点、スタッフが「これはなんだろう~?」と頭を悩ませたのがこちら。
一部紛失しているようですが、元々は錠らしきものが付いていたようです。
錠で蓋を閉めて管理できるもののようです。
ご存知の方いらっしゃいますか?
「鳥の巣箱?」など珍回答が続出しましたが、調べてようやく分かりました!
江戸時代から大正頃までに使われていた銭箱(ぜにばこ)という、いわゆる木製の金庫だそうです。
確かに横に置くと、賽銭箱にも似ている感じもします。
長年納屋に仕舞い込まれていたようで、汚れや木部の破損が目立ちますが、こちらを修理・修復を施しました。
AFTERがこちら。
本来は丸穴部分が上に向いて、横向きに置いて使うようです。
お家の歴史が感じられる一品、なかなか目にすることがないものでしたので、皆様にもご紹介させていただきました。
そして次にご紹介するのはこちら。
将棋盤です。
昔はお家を新築したり、ご結婚されたり、お祝いの時に親族が家具を贈ったり、誂える習慣がありました。
その時の記念に家具の裏側にその日付とお名前を書き込まれるということがあり、こちらも板の裏に昭和18年の字が書き込まれておりました。
どなたが作られたのかなどの由来は分からないのですが、昭和18年はちょうど60年前になりますね。
板の表面も汚れや傷が多く、綺麗にしていくともしかしてマス目が消えてしまうのかな?と少々心配しました。
そしてAFTERがこちら。
マス目もきれいに残りました。
裏側の文字も残ったままできれいに仕上がりました。
昔はこのようなお手製の雰囲気のある将棋盤で将棋をさして時を費やしていたのですね。現在よりある意味豊な生活かもしれません。
そして次にご紹介するのは小さいローテーブルです。
天板は一枚板で作られています。
天板は汚れや削れ、反りが見られ、土台となる華奢な脚部分に若干の緩みがあります。
こちらのAFTERがこちら。
天板の木目がきれいに、とてもよい風合いに仕上がりました。
支えとなる脚部分もしっかり修理を施し裏側もきれいになりました。
小ぶりですので、持ち運びも楽々。
ちょっとしたサイドテーブルとして、また置き台などとして活躍しそうですね。
そして最後に紹介するのがこちら。手前の長机、裁ち台です。
和装(着物)を製作する作業台です。以前はお家で着物を作ったりする作業台として大活躍した家具の1つです。
着物の反物は幅が約36cm程で横に長いので、それに合わせた形、横に長い台といったデザインが特徴です。
洋装が普通になってお家で作業するとも少なくなった現在ですが、そのまま残してお持ちになっている方もいらして、当店でも時たま修理・修復をさせていただくことがあります。
ちょっとした小物が入れられるように、天板の片側に小さな収納がついていました。
AFTERの姿がこちら。
厚みの差や木の種類の違いはありますが、昔のものは天板は一枚板で作られています。
天板の上で作業をする為、とりわけ水平方面に作業跡の深い傷がついていることが多く見られます。
この傷の入り具合がなかなか深いので、これを全部取るのは難しいというか、傷の深さに合わせていくと、天板がどんどん薄くなってしまいますので、程々に使用するのに支障がない程度に削って綺麗にします。
天板が一枚板の貴重な無垢材ですので(状態にもよりますが)テレビ台など何かの置き台などにリメイクしてお使いいただけると思います。
実際に当店でも裁ち台のリメイクを施した例がありますので、また機会があった時にご紹介させていただきますね。
今回はお家の建て替えというきっかけがお持ちの家具の再生に繋がり、貴重な国産の木の家具が失われずに再登板となったこと、とても嬉しく思います。
使わずに納屋などにしまったままですと、どんどん状態も悪くなって修理・修復も大変になりお値段もかかってきます。
綺麗にすれば生活の中でお使いになる機会も増えます。歴史を重ねた風合い、趣きは新しいものにはない良さがあります。
リメイクなどを施せば新しい用途でお使いになることもできます
捨ててしまう前に、一度当店にご相談をいただければ幸いです。