7月に入って随分暑い日々が続いています。
明日5日(水)は定休日、6日(木)は臨時休業とさせていただきます。
お問い合せなどの対応は7日よりとなりますので、どうぞご了承くださいませ。
さて、こちらのブログで「リフォーム時」「2世帯住宅への新築時」における、これまで使ってきた家具の再生についてご紹介させていただきました。
今回は…
「家をリノベーションするので、手持ちの家具で今後も使えるものは使いたいので一度見ていただけませんか?」
というご連絡からはじまった、「リノベーション」をきっかけに家具の再生をされた例をご紹介いたします。
まずご依頼の家具を見に伺いますと、なんと先代が使用されていたという“60年前”の無垢材の机だったのです!
月日が随分経っておりますので、どうしても無垢天板に割れや傷がたくさんありました。
収納部分の引出しの底板が取れかけていたりと問題点はありましたが
当時の職人さんが「時間をかけて工夫をこらして作り上げた家具」ということがひしひしと伝わってくる、出会えたことが嬉しくなるようなそんな味のある机でした。
実はこちらの机ですが、お客さまから
「この棒は一体何に使うんでしょうか?」と上記のような座机と引出しの他に、引出しから出された2本の棒がありました。
こちらも正直なところ「なんだろう?」と思って、修理のために家具をお引き取りしてきました。
そして修理担当の職人に見せたところ、正体が判明!
引出し3杯の座机が、なんと引出し5杯の机に「変身」〜〜〜!
変身の正体は、座机の左側の短い脚を引き抜いて取り外し、こちらの長い脚をはめ込み、さらに引出し2杯を足す事で高さの高い机に変身するということになっていたのでした。
現在でしたら金具を使っての脚の取り替えというところなのでしょうが、当時は脚をはめこんで取り替えという匠の技ならではの作り方です。
今回こちらの机を拝見していると、当時の家具の作り方、職人の技が見受けられ、シュクレ浜松(家具の松家)の創始者である、私の父が桐箪笥職人として生きていたころを思い出しました。
例えば、こちらの机は「膠にかわ」という動物性のゼラチン質でコラーゲンに熱を加え抽出したものを接着剤で使用しているようですが、父は白米をすりつぶし糊状にしたものに木の削り粉を混ぜて練ったものを接着剤として使っていたこともありました。
当時の職人が、お客様のご意見やご希望をもとに、自分の技術力や発想力を発揮して家具を作り上げていったことに思いを馳せると、今回のようなお話は大変嬉しく思います。
そして、今回の再生は細かい部分の修理を施し、さらにこれまでの塗装を剥離した上で、色づけ・ウレタン塗装という流れで作業をさせていただきました。
その結果がこちら↓
60年間ご使用された家具が、さらにこれから長い時間をお使いいただけるようになりました。
このように長年の月日で、見た目上はすこ〜しくたびれた感じになっている家具でも、しっかりと修理を施せば、現在同じ質のものをお買い求めになるより、修理のほうが費用はかかりません。(内容にもよりますが)
もちろん生活スタイルの変化によって、デザインや作りが今の生活にちょっと…いう場合もあるでしょう。
ですが、昔のモノの方が、材料も良く職人が手をかけて作っているものが多いので、うまく取り込んでお使いいただければ、貴重な家具も生き返ってくると思います。
もし身の回りに「古いけど処分するのはどうかしら?」なんていう家具がありましたら、再生に関しては専門の知識がないとなかなか分からないものですので、まずはお気軽にご相談いただければと思います。