今日は朝から雨模様。ご納品時の雨が心配なので、今週は天気予報と納品スケジュールを交互に見てため息をついておりました… 早くいろいろ状況が落ち着いて、外で春を楽しめる日が来ることを願うばかりです。

さて、今回は前回に引き続き、時代家具の修復の事例をご紹介していきますね。

横格子が特徴のキャビネットです。
上の写真だとわかりづらいのですが、内外ともに傷みがありました。

外側本体の汚れ、天板や背板などの隙間、棚板の一部が欠損していたり、引扉のレール部分の損傷などが目立ちます。

そして、修復後がこちら。

「なんとまあ〜…」とテレビで同じみのビフォーアフターの音楽がBGMで流れてきそうな、そんな修復後の姿です!


こちらは下駄箱としてご使用になるということで、内側も塗装をかけてあります。奥にちょっと見える白い部分は背板の隙間を埋めて修理した箇所です。

こちらが実際にお家に設置したものです。

修復前の姿からは想像できないほど、前扉の木目が綺麗に現れました!
職人さんによると、この辺りでは見かけない杉の種類が使われているとのこと。
残念ながらルーツは分からないのですが、きっと当時もこの素晴らしい木目に惹かれてご購入されたのかもしれませんね。

ちなみに家具の上に掲げていらっしゃるのが、その昔お商売をされていた時の屋号の暖簾だそうです。

そして最後にご紹介するのがこちらです。

こちらが修復前Beforeの姿です。

そしてこちらが修復後Afterの姿です。

色はすぐ分かると思うのですが、その他にお気づきになる点ありませんか?
(ヒントは引き出しの位置です)

お分りになったと思いますが、こちらの水屋箪笥、上部と下部を入れ替えたのです。

キッチンで食器棚としてお使いになりたいということで、引き出しが一番下にあるのは使い勝手が悪いということで上部と下部を入れ替えることで引き出しがちょうど真ん中にくるようにしました。

その入れ替えで引き出しの下に隙間ができたり、もともとの上部になかった台輪をつけたりということになりました。

そして安全面も考えて、ガラス扉をすりガラススタイルのアクリル板に変更しました。

元の扉もガラスの裏側に和紙が貼ってあり、すりガラスのように中が見えないようになっていました。

その他もこれまでご紹介した家具と同様に様々な修復修理を施してあります。

 

食器収納ということで、食器の重量に耐えられるように棚板中央に桟をつけて補強してあります。

実際にご納品した写真がこちら。

新しく加えた部分はまだ木が新しいために白く見えますが、こちらはもともとの塗装を削って本来の木の色にクリアの塗装をかけていますので、年月が経つうちにだんだんその違いが少なくなっていくことと思います。

そして今回新しい家具として、シュクレ浜松のオリジナルソファを選んでいただきました。

ご先祖から受け継いだ素晴らしい家具とともに、当店の家具も将来の時間を過ごしてもらえたら幸いです。

Y様邸は、ご紹介した家具だけではなく、家屋全体に旧宅から様々な思い出のもの・材料を取り込んでいらして、それが見事に調和されて素晴らしいお家でした。形にするには建築設計の方との長いご相談の時間が必要だったそうです。


旧宅の瓦などを埋め込んだり、あちらこちらにお家の歴史が残っています。

設計士の方ともお話しさせていただいたのですが、家を作る職人さんと家具を作る職人さんでは、同じ木を扱うことで似たところもありますが、やはり専門家ならではの「技」は各々違いますねとおっしゃっておいででした。

なかなか日本の古い家の造りを分かりながら、それを生かして新しい形へと結びつけるというのも本当に大変なのでしょうが、一旦潰したり処分してしまったら二度と取り戻すことはできませんが、家も家具もこのように知識や経験がある方々によって少しでも日本の歴史と良さが残っていけばいいなぁと思う経験となりました。

本当にこの度のご縁をいただきましたY様、心よりお礼を申し上げます。

このような質が高くよく考えられた「日本の家」がお好きな方や将来にご予定がある方など、こちらは浜松にある公務店 サン工房さんが手がけられたものになりますので、もしご関心あればどうぞホームページなどご覧いただければと思います。

サン工房 http://www.sankoubou.com/

 

こうした修復した家具の中に、途中で修理の手を入れてあると分かる跡が見られます。
その途中で入った修理が、とりあえずの対応だけをしたものや家具の専門でない人の手で修理されたものは、後々になると、修復を難しくさせていたり、本来持っていた家具の質を落としてしまっている場合もあります。それだけに当店も修復には丁寧にそして注意深くやらせていただいております。
修理の時代時代によって、できることは様々とは思います。少しお金はかかってしまうかもしれませんが、良い形で将来に繋げていける形での修復修理をお勧めしたいと思います。
お気軽にご相談くださいませ。